ペットの健康Q&A

去勢・避妊はしたほうがいいですか?
繁殖を考えない場合、動物と飼い主の皆様が穏やかに同じ時間を過ごすためには、去勢・避妊をしたほうがいいでしょう。「かわいそう」と感じる人が多く、そのお気持ちも分かるのですが、去勢・避妊をしない場合は病気や発情などに悩まされる可能性は高まります。 去勢・避妊について詳しく
子犬・子猫の最初の予防接種はいつ受ければいいですか?
子犬は狂犬病ワクチンを生後3ヵ月で打ちます。混合ワクチンは、犬・猫とも生後60・90・120日を目安に、3回に分けて打つのが一般的です。その後は、年に1回の予防接種が基本となります。混合ワクチンの接種は任意ですが、狂犬病の予防接種は義務化されているので必ず受けましょう。予防について詳しく

症状で探せる要注意の病気リスト

病気の中でも、死亡率や発症率が高かったり、感染しやすかったりする要注意の病気をご紹介します。それぞれの病気で「鼻水」や「嘔吐」、「呼吸困難」といった症状のリストを掲載していますので、当てはまるものがないか確認してみましょう。また、下記の病気に当てはまらなくても、「様子がおかしい」「苦しそう」と感じたら診療を受けるように心がけてください。

なお、下記の病気のうちいくつかは、ワクチン・予防薬による予防が可能です。それぞれの病気のリスクを理解したうえで、ワクチン接種の判断をしましょう。 予防接種についてはこちら

  • 犬・猫共通の病気
  • 犬の病気
  • 猫の病気

犬・猫共通の病気

フィラリア症

【症状】
疲れやすい、食欲不振、鼻水、咳、呼吸困難、血尿

【概要】
蚊を媒介として感染する寄生虫症。血液の中で増殖していくため、一度感染してしまうと完治は困難です。症状が重くなると胸水や腹水が溜まり、最悪の場合は死に至ります。予防薬を飲ませるようにしましょう。

外耳炎

【症状】
痒み、悪臭のする耳垢・耳だれ、耳のただれ

【概要】
耳垢や細菌などによって、耳に炎症が起きる病気です。耳に痛み・痒みが出るため、頭を振ったり、耳をどこかに擦りつけたり、何度も引っ掻いたりするようになります。慢性化すると皮膚が厚くなって耳がふさがることもあります。

ノミ・ダニのアレルギー

【症状】
痒み、発疹、脱毛

ノミやダニと接触することでアレルギー反応が起きることがあります。畳や絨毯の清掃、犬・猫のシャンプーやブラッシングなどを定期的に行い、清潔に保ちましょう。

歯周病

【症状】
口臭、歯茎からの出血

【概要】
歯周病を放っておくと歯が抜けてしまったり、血管を通って全身に歯周病菌が周り、内臓の病気になることもあります。犬・猫は歯周病になりやすいので、定期的に歯石を取りのぞくなどのケアが必要です。当院の歯科医療についてはこちら

子宮蓄膿症

【症状】
オリモノの急増、多飲多尿、食欲不振、発熱、嘔吐

【概要】
大腸菌などが子宮内で異常繁殖する病気です。悪化すると腹膜炎や腎臓障害、多臓器不全、敗血症を引き起こして死に至ることもあります。子宮卵巣摘出手術(避妊手術)によって予防可能です。避妊手術についてはこちら

巨大結腸症

【症状】
極度の便秘、食欲不振、元気消失

【概要】
極度の便秘により、腸がつねに拡大した状態になる病気です。便の詰まった隙間から軟便だけが排泄されることも多く、便秘でありながら下痢とよく間違えられます。原因は先天的な障害や肥満、加齢などさまざまです。下剤などを投与したり、場合によっては手術で腸の形状を改善したりします。

腎不全

【症状】
(急性の場合)嘔吐、下痢、脱水症状
(慢性の場合)食欲不振、多飲多尿、嘔吐、下痢

【概要】
血液中の老廃物をこし取る腎臓が機能不全を起こす病気です。悪化すると老廃物を体外に排出できなくなる「尿毒症」となり、最悪の場合痙攣や昏睡といった致命的な症状を引き起こします。急性・慢性どちらもまず尿の量を増やすことを目的に、点滴や食事療法などの治療を進めていきます。

急性胃炎・慢性胃炎

【症状】
元気消失、食欲不振、嘔吐

【概要】
腐敗物を飲み込んで細菌により発症するものと、異物を飲み込んで胃が傷付いて発症するものがあります。異物の場合は内視鏡などで取りのぞいたり、排泄させたりします。細菌が原因の場合は薬で治療します。

緑内障

【症状】
痛みで目をつぶる、涙、目やに、充血、目の変色、眼球の増大

【概要】
目の中の水圧(眼圧)が上昇する病気です。急性の場合、発症してから48~72時間後には失明してしまうと言われています。眼圧を上昇させる原因である「毛様体」をレーザーで焼いたり、点眼薬を差したりといった治療を行います。

椎間板ヘルニア

【症状】
ふらつき、運動失調、排便・排尿困難、麻痺

【概要】
脊椎の間にある椎間板が飛び出し、脊髄や神経などが圧迫される病気です。ダックスフント、ビーグル、プードルなどの犬種に多く見られます。加齢や外傷、肥満のほか、高いところからのジャンプなどが原因で発症します。軽度なものは投薬で治せますが、麻痺などがある場合は外科手術が必要です。

注意が必要な犬の病気

ジステンパー

【症状】
高熱、目やに、鼻水、咳、嘔吐、下痢、食欲不振

致死率50~90%の感染症。定期的なワクチン接種によってほぼ予防できますが、かかってしまった場合には、有効な治療法は存在しません。

レプトスピラ症

【症状】
カニコーラ型…発熱、食欲不振、嘔吐、血便、脱水
黄疸出血型…歯茎からの出血、嘔吐、下痢、黄疸
ヘブドマディス型…口内炎、歯茎からの出血、発熱、嘔吐、下痢、血便

【概要】
人にも感染する感染症。早めに処置すれば問題ないケースも多いですが、放っておくと治療は困難になります。細菌の種類によって症状はさまざまで、尿毒症や腎炎、肝炎などを起こして死に至ることも。

パルボウイルス感染症

【症状】
食欲不振、元気消失、激しい嘔吐、出血性の下痢、脱水症状

【概要】
感染力が強い病気で、体力が著しく奪われます。そもそもの体力や抵抗力がある場合は、病院で適切な処置を受けることで免疫力があがるまで持ちこたえることが可能ですが、体力の低い子犬や老犬は高い確率で死亡します。ワクチンでしっかり予防しましょう。

犬コロナウイルス感染症

【症状】
下痢、嘔吐

【概要】
子犬で発症しやすい病気です。予防ワクチンが有効ですが、かかってしまった場合ウイルスを退治する方法はないため、輸液治療で脱水対策を行うなどの対症療法を用います。単体での致死率は低いものの、他のウイルスなどと複合感染すると致死率が格段に上昇します。

犬パラインフルエンザ

【症状】
発熱、激しい咳、鼻汁、扁桃腺炎

【概要】
人間の風邪によく似た症状で、死に至ることはあまりありません。ただし感染症であるためほかの犬にうつしてしまうリスクがあるほか、他のウイルスと複合感染することで肺炎などを起こすこともあります。ワクチンである程度予防可能です。

犬伝染性肝炎

【症状】
発熱、食欲不振、元気消失、下痢、嘔吐、血便

【概要】
軽度のものは3~5日で治りますが、重い急性肝炎になった場合は死亡することも。感染した場合は抗生物質でウイルスの増殖を防ぎつつ、自然治癒を待ちます。

犬アデノウイルス2型感染症

【症状】
咳、クシャミ、扁桃腺炎といった呼吸器系の症状

【概要】
別名「犬伝染性喉頭気管炎」と言います。そもそも致死性がありますが、他のウイルスと複合感染することで肺炎などを誘発し、より死亡率が高くなります。子犬期からのワクチン接種で予防しましょう。

注意が必要な猫の病気

猫汎白血球減少症

【症状】
食欲不振、嘔吐、下痢、血便

【概要】
パルボウイルスが原因で起こる伝染性の胃腸炎です。「猫ジステンパー」「猫伝染性腸炎」とも言われ、子猫や体の弱っている猫は1日で死んでしまうこともあります。きわめて伝染力が高いため、できればワクチンで予防しましょう。

猫ウイルス性鼻気管炎

【症状】
涙、目やに、発熱、食欲不振、咳、鼻水、下痢、

【概要】
「猫のインフルエンザ」とも言われ、人間の風邪と似た症状を引き起こします。目やにが出るのが特徴で、結膜炎になり、最終的に失明する恐れもあります。ワクチンを打たない場合、部屋飼いしたうえで「野良猫を触った手でペットに触らない」などウイルスを持ち込まない配慮を徹底しましょう。

猫白血病ウイルス感染症

【症状】
食欲不振、下痢、発熱、鼻水、体重減少

【概要】
赤血球や白血球、血小板などの減少や異常増殖を引き起こす感染症です。生後4ヵ月以内の子猫は高い確率で死に至り、命を取り留めた場合も慢性化してリンパ腫などに発展することがあります。ワクチンもありますが、100%防げるというわけではありません。

クラミジア感染症

【症状】
目やに、鼻水、咳

【概要】
猫クラミジアという細菌の一種によって、目やにによる結膜炎のほか、鼻炎や呼吸器症など、さまざまな症状が引き起こされる病気です。悪化すると気管支炎や肺炎に発展し、最悪の場合は死に至ります。ワクチンを接種すれば予防でき、もしかかってしまった場合も軽い症状ですみます。